今回より、皆様が病院内外で見聞きされる臨床検査といわれるものの、「なぜ検査をするの?」などの疑問や、「一体この結果はどのように解釈したらいいの?」といった不安を解消していただく一助としての連載を開始することとなりました。
一般的に「検査」というと、レントゲンや内視鏡なども含まれますが、今回連載する臨床検査は臨床検査技師が行なう、検体検査(患者様から採取した血液などを材料とする)と生理機能検査(心電図、呼吸機能、脳波など患者様を直接計測する)に大きく分けられます。今回は、検査データを見ていただくにあたっての予備知識的な話とさせていただき、次回から実際の検査について掲載させていただきます。
まずはバラツキの話から。一卵性双生児であっても、また、仮にクローン技術により同一人物が誕生したとしても、その後の生活環境によりバラツキが生じるでしょう。いわんや私たちには個人差があり、検査結果も異なって当然で、そのうえ各個人の身体のバランスも常に一定ではなく、ある一定範囲内でバラツイテいます。
次に物差しの話で、どんなものでも基準があって初めて、高い低いなどが判断できますが、臨床検査の世界でも「基準範囲」と呼ばれる物差しを使っています。しかしこの物差しは通常、「健常な方の95%が入る範囲」であって健常な方でも5%の方は範囲外に出てしまいます。これは個人のバラツキと、病気があるとき突然起きているようでも、実際にはジワリジワリ私たちの体を蝕んでいるからで、「Aさん」の正常時のデータと「Bさん」の異常時のデータが区別できないような部分がどうしてもできてしまう為、世界中で多くの検査結果はこの95%を基準としています。またこの基準の多くは成人を対象としていますので、年齢によって変動を示す検査については「成人の基準範囲」という物差しで計ると範囲内に収まらないということも多々あります。このような、曖昧な部分をはっきりさせる為に関連した検査を組み合わせたり、同じ検査を繰り返し実施して、その結果をコンピュータに保存し、前回の値や更にさかのぼって比較して個人の物差しとして、細かな変化も捉えられるようになっています。

最後に根拠の話ですが、新聞にも度々採り上げられている、「根拠ある医療」という点からいえば、臨床検査は予防、診断、治療判定、経過観察などの際、「なぜこうなった?」を解く一つの根拠として必要不可欠な存在となっています。
当然、これらは検査結果がきちんと正確に出ていての話ですが、当院では多くの施設が参加している「精度管理」と呼ばれる調査で、毎年95点以上の成績を収めていますのでご安心ください。(詳細は本紙33号に掲載済み)