第2回

臨床検査科

細菌検査

病原性大腸菌O-157、赤痢菌食中毒、バイオテロと近頃、細菌に関する話題を新聞、ニュースで良く目にします。
細菌というと恐ろしいイメージがあると思いますが、人の皮膚、腸管内、口腔内などには無害な細菌が多数存在し、正常細菌叢というものを形成し、外部から来た病原菌が定着するのを防ぐバリアーの働きをしています。このように人と細菌は共存しています。

しかし宿主であるヒトの免疫力が低下した場合、その一部の細菌は人に対して牙を剥きます。このように健康な人には感染を起こしませんが、免疫力の弱ったヒトに発病する感染症を日和見感染症といいます。
これに対しサルモネラ、赤痢菌、コレラ菌、溶血連鎖球菌、などの病原性の強い細菌が、体内にある程度の菌量として侵入・定着・増殖した場合は健康な人でも発病します。

患者様に、肺炎、咽頭炎、膀胱炎、化膿症などの細菌感染症が疑われた場合、それぞれの感染部位から採取された材料を染色して顕微鏡で観察するグラム染色・鏡検検査や、培養してそこから分離された細菌の持つ性状から、何と言う名前の細菌かを調べる細菌同定検査をおこなって、どのような細菌に感染しているのかを調べています。
例えば下痢症の患者様の糞便を検査してそこから分離された細菌が無害な細菌の場合と、赤痢菌のような病原菌が検出された場合では、治療の方針や、法的な対応もまったく異なります。
また肺炎の場合の喀痰などから分離された細菌が、日和見感染菌だった場合は、患者様の病態(基礎疾患)、検出された菌の量、検出の持続期間、細菌数の減少と症状の改善との相関、などから病気の原因菌かどうかを判断します。
1942年に抗生物質のペニシリンが発見され、感染症の治療は大きく改善されました。しかし翌年には早くもペニシリンが効かない耐性菌が出現してしまいました。それ以来人類の病原細菌に対する新たな戦いが始まったのです。細菌は一分裂(世代時間)するのに20〜40分という短い時間で2倍に増えるので、薬剤耐性菌が出現した場合、短期間で広がる危険性があります。

この薬剤耐性菌を見つけることと、どの抗菌薬を投与すれば、良い治療成績があげられるかを調べる検査を薬剤感受性試験といいます。この検査は分離同定された細菌と、ある濃度の抗菌薬とを混ぜて培養し、菌の死滅又は増殖が抑制されれば抗菌薬に感受性(薬が効く可能性高い)、逆に抗菌薬が菌の発育を抑制できず細菌が増殖すれば耐性(薬が効かない)として判定します。その検査結果を参考にして、どの抗菌薬を投与すれば良い治療成績があげられるかを医師が判断します。

当院では院内検査室で細菌検査を実施していますので、迅速な検査報告により細菌感染症の早期診断・治療への貢献をしているほか、薬剤耐性菌の監視及び、各種薬剤耐性菌情報の提供により薬剤耐性菌出現の抑制、院内感染の防止にも役立っています。