第24回 薬剤科 
消化性潰瘍 〜ピロリ菌〜

 かつて消化性潰瘍は、ストレス、胃酸、飲酒、暴飲暴食などが原因とされていました。しかしこれらは胃粘膜を刺激する「潰瘍の促進因子」にすぎず、近年になって、潰瘍の多くはヘリコバクターピロリ菌が主に関与していることがわかってきました。

 ヘリコバクターピロリ菌(Helico=らせん型、bacter=バクテリア、pylori=幽門)(以下、ピロリ菌)は、胃、十二指腸潰瘍患者の80〜90%に検出され、その名の通り、胃の幽門部に多く存在するらせん型の細菌です。一方、胃の中は胃酸で満たされており、食べ物と一緒に口から入った菌などは胃酸により死滅します。しかし、ピロリ菌はまわりの酸を中和しアルカリ性にすることで胃の中で生き続けることが出来るのです。

<感染経路>

 ピロリ菌は、幼児期(まだ免疫力が弱いときに)に汚染された水、食べ物、唾液から感染すると予想されています。概して上水道の整備の悪い国が流行地です。日本では年配者が高い感染率なのですが若い人には流行していません。また子供同士、母子間で感染する可能性が指摘されていますが、通常の生活で成人が家族内で伝染することはまれです。

<治療法>

 ピロリ菌を除菌するためには3種類の飲み薬(胃酸を抑える薬と抗生物質2種類)を7日間飲みます。9割以上の方に有効(除菌が成功)です。完全に除菌されたら、再感染することはめったにありません。ピロリ菌が胃にすみつくチャンスは私たちが幼児期だけのようです

・副作用は?

 下痢、血便、吐き気、めまい、カンジダ感染などです。軽い症状であれば医師の判断のもと、注意しながら最後まで服用することになります。
 

 ピロリ菌を除菌すると潰瘍の再発はほとんど無くなります。この事実は、「ピロリ菌こそが潰瘍の根源的な原因」で「胃酸は促進因子にすぎない」ということを示しています。しかしながら、ピロリ菌に感染した方で潰瘍になるのは、ほんの一部の方です。これらのことから、ピロリ菌が主役なのですが他に重要な脇役(胃酸、ストレス、煙草、酒、コーヒー、香辛料、体質など)も潰瘍を促進させるので注意しましょう。

 何かご質問がございましたら、院内薬剤科(2階外来ゾーンと産婦人科ゾーンの間の左側−「ギャラリー」の先)までお越しください。