(財) 日本医療機能評価機構認定

ささだより

「ささだより」 2007年3月号目次
 ●携帯電話使用可能区域ができました
 ●くすりの話
 ●高齢者の摂食・嚥下障害
 ●公開健康講座より
 ●お知らせ 

2007年3月  第73号
発行所
      
特別医療法人社団時正会
   佐々総合病院
東京都西東京市田無町4−24−15
   発行責任者  佐 々 英 逹
 TEL:042−461-1535

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/9  コミュニティサポート研究会

「嚥下と食事」より


高齢者の摂食・嚥下障害

リハビリテーション科

言語聴覚士  島田 栄子

  

        .       .

食べることは生きる喜び
 「食べること」は生命活動のため動物の本能としてプログラムされてい
るものです。けれども、食事を目で楽しむ、香りに食欲を感じる、ともに
食卓を囲む人と喜びを分かち合う、思い出の味を懐かしむなど、「人間ら
しく
食べること」は精神生活や社会生活をより豊かにするたいへん高次な
活動であり、たくさんの神経細胞やシナプスが動員され、脳を活発に働か
せます。入院直後「禁飲食」だった方が、少しずつでも食事をとるように
なると、表情が生き生きとなりその方らしさを取り戻していかれるのをし
ばしば目にするたび、このことを実感します。 


  摂食・嚥下障害とは
  摂食・嚥下障害とは、「飲み込む」という運動障害だけでなく、食物認
知、食への意欲、咀嚼などの問題も含む「ものを食べる」という行為全体
のどこかに問題があることをいいます。特に、食べ物、飲み物が正しく食
道にいかず気管や肺に入ってしまう「誤嚥」は、重症な呼吸器疾患「誤嚥
性肺炎」につながるおそれがあります。摂食・嚥下障害の原因には、嚥下
に必要な筋肉・組織の構造上に問題がある器質的なものと、構造的には明
らかな問題はないが神経や筋肉の働きに異常がある機能的なものとに大き
く分けられます。機能的障害の原因として最も多いのは脳血管疾患です。
 加齢による嚥下機能の変化高齢になると、嚥下機能には次のような変化
がみられるようになります。

1歯牙欠損により咀嚼力が低下する

2食べ物を口の中でまとめるのに非常に重要な唾液の分泌が低下する

3舌の運動が鈍くなり、口腔内で食物を保持する能力が低下する

4嚥下に用いる筋力低下、靭帯の緩みにより飲み込みの力が弱くなる。
 また、ゴックンという嚥下反射のタイミングが遅れやすくなる

5間違って気道に侵入した異物をはね返す咳の力が低下する

6集中力、意欲が低下し、食べるとすぐ疲れてしまう       など

このように飲み込むまでの一連の動作に加齢の影響がみられ、ちょっとし
た嚥下の失敗が誤嚥につながりやすくなります。

  
また、運動量の低下や視覚、嗅覚の低下によって食欲がわかなくなったり、
トイレに行く回数が増えることを気にして水分摂取を控えてしまうなど、低
栄養、脱水を招きやすいことにも注意が必要です。私たちが日ごろ多少誤嚥
しても肺炎になったりしないのは、抵抗力という蓄えがあるからですが、高
齢者はその「予備力」が不足している状態なのです。


おかしいな、と感じたら
 摂食・嚥下障害はさまざまなサインを伴います。「飲み込みにくさ」でも
っとも頻度が高いのは、口からのどに食物を送りにくいという場合です。

 
「口に食物が残る」ときには、のどにも残っていることが多いようです。
 
「のどに痰がからんだり、食物が残る感じがする」ときは、何度かごく
んとしてみたり、咳払いをしてみましょう。
 「食事中や水分を飲むときむせる」むせは摂食・嚥下障害を疑うもっと
も一般的症状です。水分は口の中でせき止めておくことが難しく、固形物と
汁が混ざった味噌汁などは特にむせやすくなります。また、感覚の低下、咳
の力の低下によって高齢者では気管に入ってもむせがみられない「不顕性誤
嚥」の割合も高くなります。むせていないから安心、というわけではありま
せん。
  このようなサインがみられたら、今食べている食事や食べ方に工夫が必要
になってきます。


嚥下食の条件
  嚥下食とは、健康なときは口の中でやれていることを、食物側がいわば肩
代わりするものです。求められる条件は、
   @口の中でまとまりやすい
   A口腔や咽頭を滑らかに通過する変形性と流動性がある
   Bべたつかずのど越しが良い

   C密度が均一
 などです。当院でも障害の重症度に合わせて段階的に嚥下食を提供してい
ます。軽度障害の方、加齢により嚥下力の低下した高齢者向けには「ソフト
食」をお出ししています。これは安全性だけでなく、見た目の良さにも配慮
したものです。従来軽度障害に対しては「キザミ食」が多用されていました
が、当院では全面的にソフト食に切り替えました。細かく刻んでしまうと口
の中でまとめにくく、かえってむせやすく危険であることが近年の研究で明
らかになったのを受けてのことです。

安全に食べていくために
 当院では、嚥下造影検査も行っています。実際に透視下で食べたり飲んだ
りするところをビデオ撮影することにより、嚥下のどこに問題があるかの情
報が得られます。検査には必ず言語聴覚士も立会い、どうすれば、何なら食
べられるかを主治医と検討し、リハビリを組み立てていきます。安全な栄養
摂取方法が経管栄養となっても、楽しみレベルの経口摂取の可能性を探りた
いものです。食べることはその方自身の喜びでもあるとともに、食べさせる
方の喜びでもあると思うからです。


コミュニティサポート研究会とは

平成10年に田無市の保健、福祉、医療
に関わる有志で始まりました。それぞ
れの現状について報告や情報交換を通
し、利用者の方によりよい支援をして
いくことを目指しています。現在は西
東京市の関係者が中心ですが、近隣地
区の方たちにも広がりつつあり、旬な
話題を提供しあいネットワークを構築
しています。当院の医療相談室が企画
した今回は、ケアマネジャー、介護職、
看護職、栄養士、市役所職員など80
余りが参加され、このテーマの関心の
  高さを感じました。          .
  


 


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