| (財) 日本医療機能評価機構認定 | ||
| ささだより | 「ささだより」 2007年5月号目次 ●私たちの専門分野はこれです ●公開健康講座より ●平成19年度基本方針 ●健診センター開設のお知らせ |
2007年5月 第74号 発行 特別医療法人社団時正会 佐々総合病院 東京都西東京市田無町4−24−15 発行責任者 佐 々 英 逹 TEL:042−461-1535 |
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| 3/14 公開健康講座より あなたの骨は大丈夫? 今からはじめる骨粗しょう症の予防 〜 寝たきりにならないために 〜 今回の講師 整形外科医 稲畠 勇仁 ![]() |
T.はじめに 骨粗しょう症患者数の増加と合併する骨折による生活機能の低下が問題となっています。日本の高齢化は世界的にも例がないほど急速に進行しており、昭和60年(約20年前)には75歳以上の高齢者は総人口の4%に過ぎませんでしたが平成17年には約8%へ増加しており、20年後には15%を占めると予想されております。 U.骨粗しょう症とは 「正常に石灰化された骨が量的に減少をきたした状態」と定義されます。「スが入った状態」「骨がスカスカ」などと表現されます。骨は常に生まれ変わっていて、骨を溶かす細胞が働いて古い骨を溶かし、骨を作る細胞が新しい骨を作る工程を繰り返しています。正常な状態では骨吸収(骨が減る)と骨形成(骨を増やす)のバランスが良いのですがそのバランスが崩れて骨吸収が多く、骨形成が少ないと徐々に骨が減っていきます。この骨吸収には女性ホルモンが関係しているため患者さんは閉経期以降の女性に多いのです。骨粗しょう症と診断される女性の割合は50歳代で10%ですが70歳代では実に50%近くなっています。 診断には、まず患者さんの症状を聞きます。腰や背中の痛み、身長の低下、姿勢異常(背中が丸くなってきた)などと訴えます。また、些細なことで骨折してわかることもあります。次に、背骨全体のレントゲンを撮って骨折の有無を確認するとともに、骨塩量検査を行います。骨塩量検査には様々な方法がありますが、脊椎、大腿骨、前腕骨などを放射線を用いて調べるのが標準的です。血液検査では骨代謝マーカーを調べて骨粗しょう症のタイプや除外診断をします。 V.骨粗しょう症ガイドライン2006 最新のガイドラインによる薬物治療開始基準は ・脆弱性既存骨折がない場合 1)腰椎・大腿骨・橈骨・中手骨骨塩量検査でYAM(若年者骨塩量)の70%未満 2)YAM70%以上80%未満の閉経後女性および50歳以上の男性で@〜Bのいずれか1つを有する場合 @過度のアルコール摂取(1日2単位以上) A現在の喫煙 B大腿骨頚部骨折の家族歴 ・脆弱性既存骨折がある場合 男女とも50歳以上となっています。 骨粗しょう症性骨折の危険因子として「低骨密度、高齢、既存骨折、骨折家族歴、喫煙、飲酒(1日2単位以上)、ステロイド使用、関節リウマチ」が挙げられており、50〜60歳で危険因子を持つ女性と65歳以上の女性は骨塩量検査を一度は受けるように推奨されています。 W.骨粗しょう症の治療 骨粗しょう症の第一選択薬はビスフォスフォネート製剤と呼ばれる薬で強力な骨吸収抑制作用があります。閉経期骨粗しょう症にはSERM(選択的エストロゲンレセプター調節薬)も推奨されます。ビタミンD3・K、カルシウムCaなども併用します。薬物療法の効果判定には骨吸収マーカーや骨塩量検査が有用です。 骨折による疼痛に対しては、カルシトニン製剤の注射が有効です。消炎鎮痛剤の内服・外用薬や各種のブロック療法を併用します。 骨粗しょう症性骨折に対しては、合併症を予防するため受傷早期に出来るだけ低侵襲な手術を行います。脊椎の骨折に対しては、変形に伴って下肢の神経麻痺や心肺機能の低下を起こすようであれば手術を行い神経の除圧と脊椎機能の再建を行います。 X.骨粗しょう症の予防 薬物療法以外で骨粗しょう症の予防効果があるのは運動と食事です。特に成長期に行う運動は最大骨塩量を増加させます。高齢者でも負荷をかけると骨量は維持される上に転倒予防効果もあります。 具体的な運動処方例としては、 ・50〜60才台の方では ストレッチング10分 筋力増強運動15分 エアロビクス運動20分 テニスなどのレクリエーション運動30分を週3回程度。 ・75才以上の方では ストレッチング10分 ウォーキング20分 バランス運動10分 リズム運動10分を週2〜3回程度 行うと良いでしょう。 食事療法としては基本的に蛋白質、Ca、ビタミンC・K・Dを十分に摂取するとともにリン・Naの過剰摂取に注意します。またカフェイン・アルコール・タバコはさらに厳格に制限することが必要です。 日本人のCaの摂取量は目標の800mg/日を下回っており、さらに積極的に摂取する必要があります。日本の標準的食材である海草・豆・野菜・魚介類からは比較的十分量のCaが摂取されているので乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)などを増やすことでCa摂取量を増加させましょう。コレステロールが心配な方は低脂肪の乳製品を選ぶと良いでしょう。特にお勧めはスキムミルクでスプーン2杯で200mgのCaが摂取されるので料理に混ぜたりして工夫すると良いでしょう。 小児・思春期ではすくなくとも800mg/日のCa摂取が必要で不足しがちな野菜・果物・魚・小魚の摂取を心がけましょう。 若年期では過度のダイエットを控えて十分な良質の蛋白を摂取するとともに、リンを多く含むインスタント食品や加工食品の摂取を控えると良いでしょう。 特に妊娠・授乳期には、さらに多くのCa摂取が必要です。 閉経期以降では腸からのCaの吸収率が低下するため、より多くのCaを摂取するように心がけましょう。摂取カロリーを少なくすると蛋白質の摂取不足となりがちなので注意してください。 Y.まとめ 超高齢化社会を迎え皆さんの健康に対する関心が高まっておられると思いますが、ぜひとも「骨」の健康にも留意して元気な老後を迎えられるように今から気をつけましょう。 |