令和2年度 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
集計対象
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード

年齢階級別退院患者数は、令和2年度に退院した患者様の年齢を10歳刻みごとに集計した患者数です。

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 50 57 215 351 297 390 483 863 1192 520
入院患者さんの総数は、前年度と比較すると全体的に増加しておりますが、特に30歳代と70~90歳代で増加しております。また整形外科・婦人科などの入院患者さんも多いため、他の急性期病院と比べて20~30歳代の方の入院も多いことが特徴です。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

診断群分類別患者数等は、各診療科が多く取り扱っている疾患について上位5位までの患者数、平均在院日数、転院率、平均年齢を示しています。平均在院日数は自院と全国を比較することで効率的に診療を行っているかを評価することができます。転院率は各疾患ごとの全退院数における他病院への転院患者数割合を示しています。

内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 129 21.29日 20.51日 12.40% 87.60歳
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 96 16.33日 13.00日 11.46% 80.89歳
0400800499x01x 肺炎(市中肺炎以外かつ75歳以上)定義副傷病-あり 45 26.13日 21.75日 22.22% 88.93歳
0400800499x00x 肺炎(市中肺炎以外かつ75歳以上)定義副傷病-なし 41 15.83日 18.64日 7.32% 85.71歳
030400xx99xxxx 前庭機能障害 39 3.92日 4.94日 0.00% 68.59歳
最も多い症例は、「誤嚥性肺炎」で、食べ物や唾液・痰などが気管に入ってしまうことが原因で起こる疾患です。特に飲み込む力が低下した高齢の方が多く重症化しやすいため、20日を超える平均在院日数となっています。
第2位は、「尿路感染症」で、平均年齢は80歳以上で高齢の方が多く、合併症などのため平均在院日数も長くなっております。
第3位・第4位は、「肺炎(75歳以上)」で、介護施設等からの入院が多く、市中肺炎以外の医療介護関連肺炎が増えております。
2020年度最も多い症例が肺炎で、全体で163件ですが、DPCコードが細分化されているため個々の症例数は分散されております。
第5位は、「前庭機能障害(めまい等)」で、救急患者さんが多く、画像診断等で脳神経外科医が併診することもあります。
循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900xx 心不全 36 16.58日 17.23日 0.00% 85.92歳
050050xx0200xx 狭心症 慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 29 4.00日 4.44日 0.00% 71.76歳
050050xx9910xx 狭心症 慢性虚血性心疾患 心臓カテーテル検査 28 2.25日 3.07日 0.00% 74.61歳
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 終夜睡眠ポリグラフィー 16 2.00日 2.04日 0.00% 67.13歳
050050xx9920xx 狭心症 慢性虚血性心疾患 心臓カテーテル検査 血管内超音波検査等 12 2.25日 3.26日 8.33% 73.67歳
厚生労働省の死因別死亡者数のデータによれば、日本人の死因の第2位は心疾患(高血圧症を除く)です。中でも狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、生活習慣病から進展することが多く、当科では冠動脈CTや心臓超音波検査等を行ない早期診断を心がけております。心臓の周りの血管が狭くなる冠動脈疾患に対しては、複雑な病変でなければカテーテルによる冠動脈治療を行います。
最も多い症例は、心不全で、平均年齢85歳で高齢の患者さんが多い疾患です。
第2位の冠動脈インターベンション(PCI)は約3~4日の入院期間です。第3位の狭心症の冠動脈造影(心臓カテーテル検査)は約2~3日の入院、
第4位は睡眠時無呼吸の睡眠ポリグラフィー検査で、1泊2日の検査入院です。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 25 4.24日 6.13日 12.00% 0.00歳
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 11.19日
140010x197x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上)新生児仮死蘇生術 仮死第1度 8.37日
140010x197x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上)新生児仮死蘇生術 仮死第2度 12.38日
当院には産婦人科があるため、出産後の新生児の入院がほとんどで、黄疸・低体重・一過性多呼吸などの症例が多いです。産婦人科医と協力して新生児の診療を行なっており、必要に応じて近隣のNICUを持つ高度医療機関と連携して新生児の搬送を行う場合もあります。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠経ヘルニア(15歳以上)ヘルニア手術 84 3.87日 4.86日 0.00% 64.98歳
060210xx99000x 腸閉塞 67 9.87日 9.08日 2.99% 76.22歳
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 63 7.67日 7.74日 0.00% 66.24歳
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 52 7.02日 7.23日 0.00% 62.98歳
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 50 5.32日 5.44日 0.00% 37.66歳
第1位は、鼠径ヘルニア手術の症例で、約3~4日の入院期間です。
第2位の腸閉塞は前年度と比較して増加しております。腹痛・嘔吐等の消化器症状を呈し、輸液等の保存的療法を行いますが、繰り返す場合には手術を行うこともあります。
当院は救急指定病院であることから、休日夜間を問わず救急の腹部疾患が多く、外科では、患者さんへの負担が少ない消化管・膵胆道系に対する内視鏡治療から腹腔鏡手術まで、緊急時でも対応できる体制を整えております。
第5位の虫垂炎は若い方が多く、虫垂切除術は全て腹腔鏡手術を行なっております。
上記疾患に限らず、当院では多くの疾患に対してクリニカルパスを導入しており、標準的なチーム医療を安全に提供できるよう努めております。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿骨近位の骨折 人工骨頭挿入術等 100 27.70日 25.09日 44.00% 83.31歳
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)人工関節再置換術等 54 23.22日 21.03日 0.00% 62.35歳
070370xx99xxxx 脊椎骨粗鬆症 33 27.00日 21.71日 48.48% 84.48歳
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 30 3.27日 5.18日 0.00% 56.67歳
070343xx99x1xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 20 3.05日 2.68日 0.00% 72.45歳
整形外科では、脊椎・上下肢の外傷などの幅広い疾患を受け入れております。
最も多い症例は、大腿骨近位部骨折で、高齢者の転倒などでおこりやすい症例です。術後の経過により更にリハビリが必要な場合は、専門のリハビリテーション病院へ転院することも多いため、転院率が高くなっております。
第2位は、股関節骨頭壊死・変形性股関節症で、当院には股関節疾患を専門とする常勤医師がおり、全国各地から多数のご紹介をいただき、当科の特徴的な症例となっております。
第3位は、主に高齢者の胸椎・腰椎圧迫骨折で、骨粗鬆症による症例です。自宅退院までにリハビリ継続が必要な方も多く、転院率が高くなっております。
また整形外科外来では、股関節外来・脊椎外来・スポーツ外来などの専門外来も予約制で行なっております。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつJCS10未満)エダラボン使用 発症前Rankin Scale0-2 82 12.87日 15.64日 23.17% 72.41歳
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 49 9.51日 8.18日 12.24% 72.45歳
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 46 9.13日 9.68日 2.17% 78.52歳
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(JCS10未満) 42 18.05日 18.86日 50.00% 73.40歳
010060x2990400 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつJCS10未満)エダラボン使用 発症前Rankin Scale3-5 21 16.00日 19.18日 38.10% 82.05歳
脳神経外科では、特に脳梗塞の入院が最も多く、夜間・早朝に救急車で搬送される方も多い疾患です。発症から4.5時間以内であれば、rt-PAによる血栓溶解療法が有効であり、症状が回復し後遺症が軽くなる可能性も高くなりますので、当院でも緊急でrt-PA療法を行える体制を整えております。また片麻痺などの後遺障害が残り更にリハビリが必要な場合も多いため、転院率も高くなっております。第2位・第3位は頭部外傷です。当院は救急指定病院であり、休日夜間も脳神経外科の専門医が常駐しておりますので、頭部外傷による救急搬送も多く受け入れております。
第4位は非外傷性の脳内出血です。自宅退院までに専門のリハビリテーション病院へ転院する方も多く、転院率が高くなっております。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120140xxxxxxxx 流産 61 2.10日 2.42日 0.00% 34.33歳
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 帝王切開術等 54 9.06日 9.45日 0.00% 32.76歳
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(膣式を含む。)腹腔鏡によるもの等 48 6.00日 6.16日 0.00% 41.81歳
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下膣式子宮全摘術等 44 5.77日 6.10日 0.00% 43.30歳
120165xx99xxxx 妊娠合併症等 24 16.21日 11.19日 8.33% 31.71歳
第1位は、昨年度はDPC対象外でしたが、2020年度保険改定で「流産手術(手動真空吸引法)」がDPC対象となりました。
第2位は、予定の帝王切開術を行う症例で、既往帝切後妊娠や骨盤位妊娠などです。当院では麻酔科・小児科などが協力して手術に対応しており、夜間休日の緊急手術も行なっております。
第3位・第4位は、卵巣腫瘍・子宮筋腫の手術症例です。当院では患者さんへの負担が少ない腹腔鏡手術・子宮鏡手術を積極的に行なっております。
第5位は、妊娠悪阻等の症例です。昨年度は、分娩件数438件でした。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓または尿路の感染症 77 10.43日 13.00日 2.60% 58.84歳
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 21 3.05日 2.54日 0.00% 69.19歳
11022xxx99xxxx 男性生殖器疾患 12 8.17日 9.28日 0.00% 66.08歳
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 7.05日
110290xx99x0xx 急性腎不全 14.03日
最も症例が多いのは、尿路感染症です。平均年齢58歳と比較的若く、10日程度の入院期間となっております。
第2位は、前立腺癌に対する前立腺生検で、当院では2泊3日で行います。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード

初発の5大癌のUICC病期分類ならびに再発の実患者数を示しています。 「初発」とは、自施設において、当該腫瘍の診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合を指しています。 「再発」とは、自施設・他施設を問わずに初回治療が完了した後、自施設にて患者を診療した場合や、治療がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指しています。 StageⅠが進行度が低く、StageⅣが最も進行した病気を表します。

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 10 20 1 8
大腸癌 13 29 19 27 35 24 2 8
乳癌 28 10 12 1 8
肺癌 1 8
肝癌 2 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院では、主に外科で消化器の癌を取り扱っており、特に大腸癌を多く診療しております。結腸悪性腫瘍手術や直腸切除術などの手術だけでなく、「再発」の患者数には、化学療法目的で計画的に入退院を繰り返している方も多く含まれます。また「不明」の件数には、大腸ポリペクトミーなど早期に退院をするため病理結果が未着のものが含まれています。
また10症例未満のため表示されておりませんが、胃癌や肝癌の診療や手術等も行っております。2019年11月からは乳腺外科の常勤医が入職し、乳癌の手術や化学療法も行っております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード

入院契機病名および最も医療資源を投入した傷病名に対するICD10コード(※1)がJ13~J18で始まるものに限定し、成人(20歳以上)の市中肺炎(※2)の患者さまについて重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。
重症度は、成人市中肺炎(※3)診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類システム(A-DROP)(※2)により分類しています。

※ 1:ICD10(疾病および関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)とは異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。(引用元:厚生労働省HP 疾病、傷害及び死因の統計分類)

※ 2:市中肺炎とは、病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎です。肺結核、院内肺炎、日和見肺炎、閉塞性肺炎、嚥下性肺炎、慢性下気道感染症の急性増悪などを充分に識別する必要があります。

※ 3:重症度分類システム(A-DROP)
   ① 男性70歳以上、女性75歳以上
   ② BUN以上21または脱水あり
   ③ SpO2(酸素飽和度)90%以下
   ④ 意識障害(肺炎に由来する)
   ⑤ 血圧(収縮期)90mmHg以下
  上記5点満点で、1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点。
  軽症=0点の場合、中等度=1~2点の場合、重度=3点の場合、超重度=4~5点の場合(ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症度とする)、不明=重症度分類の各因子が1つでも不明な場合。
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症
中等症 34人 15.76日 78.59歳
重症
超重症
不明
傷病名が肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎の患者さんが対象になります。2020年度の内科症例で最も多い症例が肺炎で163件ですが、DPCコードが細分化されているため個々の症例数は分散されております。上記は市中肺炎の患者数ですが、当院では介護施設等から入院される方が多く、市中肺炎以外の医療介護関連肺炎が増えております。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード

脳梗塞の病型別の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を示したものです。また、それぞれ発症から3日以内の入院とその他に分けて集計しています。転院率は病型ごとの全退院数における他病院への転院患者割合を示しています。

※ 1:ICD10(疾病および関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)とは異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。(引用元:厚生労働省HP 疾病、傷害及び死因の統計分類)
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 300人 20.39日 77.13歳 34.94%
その他 12人 19.25日 81.17歳 0.96%
脳梗塞では約95%以上の患者さんが発症日から3日以内に治療を受けられています。脳梗塞の合併症・後遺症を防ぐためにはリハビリテーションが非常に重要となります。当院には専門職である理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が在籍し、リハビリテーションの早期介入を積極的におこなっています。現在、脳神経外科常勤医3名体制で、手術を含めた脳外科治療と、24時間体制の救急診療にあたっています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード

診療科別主要手術上位5位の患者数、術前および術後の平均在院日数、転院率、平均年齢を示しています。 転院率は術式ごとの全退院数における他病院への転院患者割合を示しています。

内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 16 19.38日 13.44日 25.00% 87.94歳
K654 内視鏡的消化管止血術
K386 気管切開術
内科で最も多い手術は、口から食事や水分を摂取できない方に対して行われる胃瘻造設術です。患者さんの飲み込みの力や栄養状態を評価し、ご家族と相談しながら行いますので、術前・術後日数は比較的長くなっております。退院後も自立した生活が困難な場合が多く、療養型病院等への転院が多くなっております。
第2位は、内視鏡的消化管止血術です。消化管出血に対し、内視鏡検査で出血箇所を特定し止血処置を行ないます。
循環器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 29 5.31日 3.38日 0.00% 72.38歳
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極)
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症)
K597-2 ペースメーカー交換術
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術
最も多い手術は、経皮的冠動脈ステント留置術です。カテーテルという細長い管を太ももの付け根、手首あるいは肘の動脈から冠動脈まで挿入し、このカテーテルを通じて冠動脈の狭窄や閉塞に対して、ステント(金属製の網目状のパイプ)を挿入し血管を拡張する治療です。主に狭心症の患者さんに行なわれており、予定入院であれば3~4日の入院期間ですが、緊急で行われる場合もあります。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 77 1.04日 6.49日 0.00% 62.52歳
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 51 0.43日 3.88日 0.00% 38.10歳
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 48 5.40日 12.85日 0.00% 73.04歳
K634 腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術(両側) 47 0.94日 2.02日 0.00% 63.21歳
K6335 鼠経ヘルニア手術 38 0.92日 2.34日 2.63% 67.37歳
第1位~第4位までは腹腔鏡による手術です。当院では、大腸癌などの待機的手術以外に、腹部救急疾患に対する治療にも積極的に腹腔鏡下手術を導入し、術後の痛みの軽減や入院日数の短縮を目指しています。第4位、第5位は、鼠径ヘルニア手術(腹腔鏡・開腹)です。鼠経ヘルニア全体では、外科症例数第1位となっており、入院期間は約4日間と比較的短期間で退院となります。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 61 5.10日 21.69日 42.62% 79.87歳
K0821 人工関節置換術(股) 58 1.03日 24.91日 0.00% 63.59歳
K0811 人工骨頭挿入術(股) 45 5.84日 18.93日 40.00% 83.82歳
K0462 骨折観血的手術(前腕) 42 2.26日 6.62日 4.76% 60.79歳
K0463 骨折観血的手術(その他) 18 2.33日 5.22日 0.00% 56.67歳
第1位・第3位は、高齢の方の転倒等による大腿骨頸部骨折に対し多く行なわれています。術後2~3週間での退院を目指しておりますが、手術後の継続としてリハビリテーション病院へ転院するケースも多くあるため、転院率が比較的高くなっています。
第2位は、人工関節置換術(股)で、加齢に伴って起こる変形性股関節症に対して多く行われます。当院では数多くの股関節疾患の治療にあたってきた専門医が手術を行っております。大腿骨頭壊死症や大腿すべり症、ペルテス病などのお子さんに対して「骨切り術」の手術も多く行っております。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭) 35 1.00日 11.34日 8.57% 81.00歳
K6101 動脈形成術、吻合術(頭蓋内動脈) 28 9.54日 14.75日 32.14% 68.50歳
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 18 1.33日 25.61日 66.67% 71.56歳
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 18 2.17日 20.44日 22.22% 63.89歳
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 14 3.64日 12.14日 14.29% 63.64歳
最も多い手術は、慢性硬膜下血腫に対して頭蓋から血腫を洗浄除去する手術です。高齢の患者さんが多く入院後に緊急手術になる場合もあります。その他、頭蓋内血腫除去術、脳動脈瘤に対するクリッピング術等、脳卒中の外科的治療がいつでも行える体制を整えております。
2019年9月には日本脳卒中学会より「一次脳卒中センター」の認定を受けており、24時間体制で急性期脳卒中診療を行っております。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮付属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 61 1.00日 4.23日 0.00% 40.13歳
K9091イ 流産手術(妊娠11週まで)(手動真空吸引法) 55 0.91日 0.18日 0.00% 34.56歳
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 49 1.73日 6.96日 0.00% 32.73歳
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 35 2.89日 7.83日 0.00% 30.94歳
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 23 1.04日 4.00日 0.00% 38.91歳
当院の通常の帝王切開術の入院期間は、術前1日、術後7日で退院となります。
妊婦さんの中には、切迫早産等で長期間入院したのちに帝王切開術となるケースがあるため、上記の平均術前日数の数値はその影響を受けております。
昨年度の年間分娩件数は438件で、そのうち2割弱の妊婦さんが帝王切開術の分娩となっております。
当院では休日夜間も産婦人科当直医師が常駐しており、分娩や緊急帝王切開術、緊急を要する婦人科手術にも24時間体制で対応しております。
婦人科手術は、腹腔鏡手術を主として行っており、入院期間の短縮につながっております。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 13 2.79日 9.42日 0.00% 77.42歳
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 10 0.80日 8.70日 0.00% 63.10歳
K830 精巣摘出術
K8412 経尿道的前立腺手術(その他)
K7981 膀胱結石摘出術(経尿道的手術
最も多い手術は、膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)です。膀胱癌に対する手術で、尿道から内視鏡を挿入して腫瘍を切除します。
また、経尿道的前立腺手術(その他)は患者さんの体への負担が少ない内視鏡を用いた安全な手術です。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
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医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして、この表に示す4つの傷病名について、入院契機となった傷病名の同一性の有無を区分して患者数と発生率を示しています。これらの傷病名が全くないとすれば重症な症例を扱っている医療機関としては不自然であり、多すぎることも問題となります。入院契機が異なるものは入院中に基礎となる疾患が重症化したと考えられます。発症率は令和2年度の全退院患者に対する発症割合を示しています。

※ 1:播種性血管内凝固症候群(DIC)とは、さまざまな理由によって血管内で血液凝固系が活性化され、全身的に血管内で血液が凝固し、細小血管に多数の微小血栓(けっせん)を生じる病態のことです。(引用元:病気事典〔家庭の医学〕)

※ 2:敗血症とは、肺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)など生体のある部分で感染症を起こしている場所から血液中に病原体が入り込み、重篤な全身症状を引き起こす症候群です。背景として悪性腫瘍、血液疾患、糖尿病、肝・腎疾患、膠原病(こうげんびょう)といった基礎疾患がある場合、あるいは未熟児、高齢者、手術後といった状態である場合が多いとされています。(引用元:病気事典〔家庭の医学〕)

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 11人 0.25%
180010 敗血症 同一 18人 0.40%
異なる 52人 1.16%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一
異なる
入院契機の病名と「同一」とは、入院時に重症化した状態で受け入れた患者さんで、入院契機の病名と「異なる」とは、入院中に主たる病名が重症化して、DICや敗血症を発症したと考えられます。また当院では手術や処置の際に起こりうる合併症について、事前に十分に説明を行ない、発症が最小限になるよう努めております。
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